2023年02月23日 22:48
かつて(昭和10年代の末頃まで)関東以西の地方に、一般社会の人々と隔絶して、山野をさすらいながら生活を送る山の民がいた。彼らは農村近くの川原に瀬降(セブ)りという天幕を張り、箕作り、箕直しを主な生業としていた。その社会は彼ら独自のもので、他を寄せつけず、アユタチと呼ばれる大親分(オーヤゾー)を頂点に、クズシリ(国知)、クズコ(国子)、ムレコ(群子)の各親分(ヤゾー)が、各地の瀬降りを取り仕切り、その生活は、独自の掟(ハタムラ)によって厳しく規定されていた。もしそのハタムラを破るものがいれば、厳しい制裁が待ち受けていた。彼らが理想とする、誇り高き社会を守るために・・・。